「何だよ……それ。
何でその時に気付かなかったんだよ、俺。」
西園寺はその時に私のことを見つけられなかったことを後悔しているみたいだった。
「俺、練習試合でやっと見つけたと思ってたのに、まさかその前に会ったことがあるとは思わなかった。
あー、その時に見つけられなかった自分にすげぇ腹立つ。」
西園寺は後悔してるかもしれないけど、私はそうは思わない。
「私は、あの時西園寺に会わなかったことを後悔なんかしてないよ?」
そう言うと、西園寺は抱えていた頭を上げて私の顔をじっと見る。
「だって、あの時、西園寺の試合を見れたから私もあなたと同じ舞台に立ちたいってテニスを始めたんだから。」
「え?」

