12年前のあの日。
私は西園寺の家柄を知らずに話し掛けて、気付けば傍に居るのが当たり前だった。


幼いながらに好きだという気持ちに気付き、西園寺にプロポーズされたことは私の幼い夢になるはずだった。


大きくなって、別の人と出会って結婚することになれば昔のことを思い出して笑って話せればいいと思っていた。


だけど、あまりにも早い彼との別れで私の気持ちは本物だということに幼いながらに気付いてしまい、親を悲しませないように黙っていることに必死だった。