お墓参りが終わると、私は西園寺と手を繋いて神谷さんが居る駐車場まで歩く。


「久しぶりにお父さんに会えてよかった。
西園寺、ありがとう。」


私は、記憶が無くなる前の私が言いたかったこと全てをお父さんに伝えられて、何かが吹っ切れた感じがした。


でも、これは1人では無理だったと思う。
西園寺が本当のお父さんの気持ちに気付かせてくれたからこうして前を向いている。


そのことに対して私は感謝をしていた。


「………なぁ、唯那。いい加減、その西園寺って呼ぶの止めろよ。」


西園寺は、記憶が戻っても呼び方を変えない私に不満があったみたいで少しふてくされている。


「呼びやすいからいいじゃん。」


正直、ずっとこの名前で呼び続けてきたわけだからこっちの方が呼びやすかった。


「だからって、俺達は婚約者同士なんだぞ?
それなのに、苗字で呼ぶっておかしいだろ。」


「そんなことないよ。別に下の名前で呼びなさいって決まりはないんだし。」


「あのなぁ……………。
それなら、結婚して苗字が変わっても西園寺って呼び続けるのか?」


確かに、結婚してからも苗字で呼ぶのはおかしいか。
って、結婚とか早すぎるんですけど!