でも、西園寺が私に対して優しいのは私の過去を知らないから。
本当は、黙っていることも出来るんだけどそれは私が辛い。
だから、本当のことを話してこの家を出よう。
私には西園寺と婚約する資格なんかないからちゃんと言わないといけない。
「……あのね、西園寺。」
私はゆっくりと重い口を開いた。
嫌われてもいいから、ちゃんと伝えよう?
「言っとくが、俺は唯那と婚約破棄するつもりはねぇから。」
西園寺は私が何を言いたいのか分かっていたらしく、言葉を遮られた。
「でも、私は!!」
私は感情的になって大きな声を出してしまった。
どんなに隠そうとしても、私がお父さんを殺してしまったという事実は消えない。
だから、西園寺の婚約者として生きていくわけにはいかない。
私には西園寺の隣に居る資格がないんだよ?
「唯那のお母さんから話は全て聞いた。」
全てを聞いたって…………どういうこと?
「お母さんから、私の過去を聞いたってこと?」
「あぁ。」
じゃあ、私の過去を全て知ってるの?
だったら、何で婚約破棄をしてくれないの?

