「嘘だろ?」


西園寺は台本を奪って白雪姫が目覚めるシーンを見る。


「ほら、ここに手の甲にキスするって書いてあるじゃん。
手の甲のキスはキスシーンには含まれないよ。
それに、これは高校生の劇だよ?本当にキスするわけないじゃん。」


「おもんねぇ。」


西園寺は、本気で沢山の人の前でキスすると思ったの??


「西園寺。私は練習しないと駄目なんだから部屋に行ってよ。」


「練習すんなら、一人より二人だろ?
俺が相手役で手伝ってやるから練習しようぜ。」


「でも、西園寺の王子様は出てくるの最後じゃん。」


「だから、俺が白雪姫以外の役をしたらいいってだけだろ?ほら、やるぞ。」


そう言って、一つの台本を二人で見ながら劇の練習をする。


「あ、西園寺一つ飛ばした!!」


「あぁ?んなわけねぇだろ。」


「ほら、ここ。言ってないじゃん!」


私は西園寺が飛ばしたセリフを指差す。


「んな細けぇこと気にすんな。」


「いや、セリフ飛ばされたら分かんなくなるから!」


「しゃーねぇな。ほら、初めからだ。」