帰りは唯那の提案で歩いて帰ることになった。
ショッピングモールから家までは歩いて30分程で車を呼ぼうとしたが、唯那が話したいことがあるからと歩いて帰ることになった。


「…ねぇ。西園寺と私は婚約者なんだよね?」


最初はお互い無口だったが、いきなり唯那が確認するように俺に聞く。


「あぁ?何当たり前のこと言ってんだ?」


俺は、当たり前のように肯定する。
俺の婚約者は唯那以外は有り得ねぇ。
それは今でも変わらない。


「ということは、私達結婚するんだよね?」


「何だよいきなり。唯那、まさか婚約解消とか言うんじゃないだろうな。」


唯那がどんなに婚約解消したいと言っても、俺は受ける気はねぇ。
そう思っていると唯那の口から出た言葉は予想外のものだった。


「違うよ。……でも、婚約解消したいって言うのは西園寺かもしれないよ?」


俺が婚約解消したいと思うだ?
俺は唯那が言いたいことが分からなかった。


「どういうことだ?」


「私、今日の朝みたいな高級感があるところでデート出来ないから。
こういうショッピングモールの方が落ち着くし。
だから、今日のデート、西園寺は嫌だったんじゃない?」


そういう意味か。
なら、心配などする必要はない。