「可愛い!」


唯那は一言、そう言うと俺の手を引っ張ったまま唯那が好きそうな雰囲気の雑貨屋に入っていく。


店内には女で溢れていて、唯那は人混みに紛れて目当ての物がある所に辿り着く。


「ねぇ、西園寺これ可愛くない?」


そう言って唯那から見せられたのは二つのマグカップで、しかも繋げたらハートになるペアで売っているマグカップ。


値段を見ると二つで2000円。……安すぎだろ
唯那はこんなものが欲しいのか?


「ね、西園寺、一緒に使おうよ。」


唯那は男用の青いハートの半分が書かれてある方のマグカップを見せる。


「これを使うのか?」


いや、いくら家でも恥ずかしいだろ。


「だめ?」


上目遣いで言う唯那が可愛すぎて嫌とは言えなかった。


「しゃあねぇな。じゃあ、買ってきてやるよ。」


そう言って唯那が持っているマグカップを取ろうとしたが唯那によって拒否された。


「だめ!これは私が見つけた物だから私が買うの!」


そう言ってレジに持って行く唯那。
嘘だろ?こういう時男が払うのは当たり前だろ。


今までの女は男が払うのが当たり前だと思っている女ばっかりで俺が払おうとして拒否されるのは初めてたった。