「龍我様、唯那様。到着致しました。」
神谷の声で車から降りると目の前には懐かしい銀座の街が広がっている。
何故、唯那とのデートに銀座を選んだのかというと、この間見た何かの雑誌に女にブランド物をあげればそれで喜ぶ。
そんなことが書いてあったのを思い出し、俺は買い物をする場所を銀座にした。
「なんか凄い所だね………」
唯那は見慣れていないのか、辺りをキョロキョロと見回している。
「銀座は初めてか?」
「だって、東京に来たことが今までなかったし……それに、銀座って凄く高級なイメージがあったからテレビの中の世界だと思ってた。」
真面目にそう答える唯那が可愛すぎて俺は笑ってしまった。
「ちょ、西園寺。何笑ってるの?」
「いや、唯那が可愛すぎるから………」
唯那は意味分からないと言うと、頬を膨らます。
怒っているんだと思うが、俺には可愛く見えて仕方がない。
「唯那、それ逆効果だから。」
「え?」
「唯那は怒っても可愛いから。」
そう言うと、俺は唯那の手を引いて歩き出す。

