「なぁ唯那、どっか行きたいとこあるか?」
唐突に聞いてくる西園寺。
「何?いきなりどうしたの。」
「どうしたって、デートの行き先に決まってるだろ」
「デート??何で西園寺とデートするの?」
私は思わず叫んでしまった。
いくら両思いになったからって、デート??
「お前なぁ、俺のことが好きなんだろ?
恋人ならデートするのは当たり前だ。」
「いや、西園寺のことを好きとは言ったけど、何でいきなりデートになるの?」
「コンテストの特典、覚えてねぇのかよ。」
コンテストの特典……………
あ、そういえばコンテストで優勝したら優勝者同士でデートしないといけないんだっけ?
「あ…………」
「忘れてたのかよ……」
そういえば、コンテストで優勝して西園寺と婚約者だっていうことが全校生徒にバレて、竜ヶ崎さんに………
「ごめん。」
「で、行きたいとこあるか?
お前が行きたいって言うなら、北海道でも沖縄でも…何なら海外でもどこへでも連れてってやる。」
「いや、それはデートじゃなくて旅行になるから。」
私にはお金持ちの感覚が分からなかった。
日帰りで飛行機を使わないといけない所まで行くという発想は凡人である私には分からない。

