「では、これよりミスター&ミス鵬龍学園コンテストを開催致します!」
司会者の声で早速、スタートするコンテスト。
唯那は女子の中で最後から2番目だった。
「エントリーナンバー1番、3年B組早渡優香さん。」
司会者により、名前が呼ばれると耳に響くうるさい音楽が会場中に鳴り響き、舞台袖から女が出てくる。
この音楽もそれぞれがイメージに合わせて考え、演出もそれぞれ違っていた。
女の衣装はとにかく派手で胸と足が強調され、化粧もかなり濃かった。
まぁ、それが定番なんだが俺は派手な女は嫌いだった。
「唯那ちゃんもこんな感じなのかなぁ?」
は?唯那がこんな奴らと同じ?
そんなわけねぇだろ。唯那があんな衣装を着るなんて絶対に許せねぇ。
「唯那は俺が可愛くしてあげたから、あんなのと一緒にしないでほしいな。」
声をする方を振り向くと、そこには今朝、唯那と歩いていた男が立っていた。
「君が跡取りか。俺は唯那を担当した桐谷和真だ。」
こいつが唯那を担当した……
「…………お前、唯那に変なことはしてねぇだろうな。」
俺は気付けば、自分でも驚くような声を出していた。
「変なこと?唯那は妹の親友なんだから手を出すわけがねぇだろ。
跡取りは唯那のことを本気で好きなのか?
……言っとくが、遊びなら許さねえよ。」
男も真剣な顔で俺の質問に答える。
「遊びなわけねぇだろ。
俺が好きなのは昔も今もこれからも唯那以外、有り得ねえんだよ。」
「なら、俺は何も言わねえから。
……だから唯那を幸せにしてくれよ。それと、俺が唯那を最高の女に仕上げたから楽しみにしてろよな。」
そう言うと男は俺の前から立ち去る。

