コンテスト会場の観客席に居る俺らは最初に行われる女の出番を待つ。
俺の出番は最後だから準備をするまでには時間があった。
「なぁ、龍我さっきから何イライラしてんの?」
俺に隣から晃が話しかけてくる。
そりゃそうだろうな。俺はすげぇイライラしてんだからな。
「もしかして、唯那ちゃんのことで何かあったか?」
晃はいつも俺の思っていることを当てやがる。
「唯那の担当の美容師、男だったんだよ」
唯那の知り合いの美容師だというから女だと思っていたら男で、どうやら雑誌でも有名な美容師らしく、校舎に入る時に騒がれていた。
「まさか、あの龍我が嫉妬するとはな……」
晃も呆れるくらい俺はその男に嫉妬していた。
周りに何と言われようがどうでもいい。
俺はそのくらい唯那のことが好きだった。

