全てが話し終わるまでに、私は泣いてしまっていた。
「唯那様が西園寺に来てまだ2ヵ月というのに、龍我様のことをよく見ていらっしゃるんですね……」
そういうことになるのかな?
私は、西園寺のことを知らない間に沢山見ていたのかな?
「でも、分からないんです。
自分の気持ちもそうですけど、西園寺は西園寺財閥の跡取りで、西園寺に合うようなお嬢様で綺麗な人なんていっぱいいるのに。
何で何の取り柄もない庶民を選んだのか。
だって、私には地位も名誉もなければ可愛くもないしいいところなんてないんですよ?」
だから、自分の気持ちを認めるのが怖くて、私は逃げてしまっているのだと思う。
「……唯那様のいいところは龍我様が一番知っておられます。
それに、龍我様は遊びで女性と付き合う方に見えますか?」
……そういえば、西園寺は生徒会がある日以外は教室でも部活でも家でもずっと一緒で一人で外出したことはなかった。
「龍我様はとても一途なお方です。
それは主だからではなく、誰が見てもそうおっしゃると思います。」
「え………?」
「龍我様は容姿端麗だけでなく、成績も常に学年トップでございまして運動は……唯那様には適いませんが全国大会で優勝される実力にございます。
しかも、西園寺財閥の後継者……モテないわけがないんですよ。」

