「……唯那様、失礼と存じた上でお聞きしたいことがあるのですが。」
いきなり畏まる神谷さん。バックミラーに写る神谷さんの目はとても真剣な様子だった。
「はい、何ですか?」
とりあえず、そう返事をするしかない。
何かあったのかな?
「唯那様は、龍我様のことをどう思いですか?」
「えっ?」
私は予想外の質問に何も言えずに驚くだけだった。
西園寺のこと……そういえば、さっきも和真さんに好きなんじゃないのか?って聞かれて……
「困らせてしまいましたね。申し訳ありません。ただ、先程の和真様とのお話で唯那様の反応がいつもと違って見えてしまいましたので……」
そっか、ここはリムジンじゃないから運転席からでも私達が話していることは聞こえているよね?
「あの、西園寺に言わないですか?」
「はい、それはお約束いたします。
ですので、気になることがあればお話していただいてもよろしいですか?」
神谷さんの言葉で私は、ゆっくりと口を開いた。
「あの、その、好きとかはまだ分かりません。
でも、最近変なんです。
西園寺は、俺様で負けず嫌いで強引で……
なのに、優しくて私を守ろうと一生懸命で……
全国大会の決勝戦も、相手は私の先輩だった人だから先輩を応援しないといけないのに、心の中では西園寺に負けてほしくなくて……
表彰台で二人で一番高い所に上がれた時はとても嬉しくて……
自分が西園寺に対してどう思っているか分からないんです………」

