「では、試合はシングルスで順番はそれぞれで決めるというのでどうでしょうか。」


と、玉城部長が提案するがすぐに相手部長に却下された。


「他のレギュラーはそれでか構いませんが、私だけは相手を指名させていただきたい。」


「指名……ですか?」


指名という言葉に他の部員や女の子達がざわつき始める。


今まで色んな学校と練習試合をしてきたけど、対戦相手を指名したいというのは初めて聞いた。


「私がここに来た理由、それは公式戦では絶対に闘うことが出来ない相手と闘う為……」


その一言で彼が誰を指名しようとしているのか察しが付いてしまう。


「………確かに公式戦では男と女が試合することはないですもんね。」


私は部長が何かを言う前に一歩前にでる。


「いいですよ、その勝負受けます。」


そう言って西園寺さんの顔をじっと見る。


「見た目と違って威勢がいいですね。
では、よろしくお願いします。えっと、名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」


「2年の島崎です。」


「島崎さんですか……その名前、よく覚えときます。」


やっぱり私はこういうお金持ちの坊ちゃんが苦手みたい。


話し方もオーラも全てが苦手でしかなかった。