「簡単に言えばファッションショーみたいなもんだ。
いつもは学校に美容師を呼んでヘアメイクから化粧までしてもらったり、デザイナーに洋服を選んでもらって体育館でウォーキングをするんだよ。」


鵬龍学園の体育館は普通の学校の何倍もの広さ。その中でウォーキング……それって本当にモデルのファッションショーみたいなことをやるんだよね?


「ほら、やっぱり私に向かないじゃん。
何で私に投票したのよ。西園寺のばかぁ。」


私のテンションは更に下がっていく。
本当にどうして私なんかに投票したのよ


「あぁ?お前、誰にバカって言ってんだ?」


西園寺はバカと言われることに慣れてないのか、不機嫌オーラが漂う。
でも、私はそんなの気にしない。


「あーぁ。選ばれることが分かってたなら、西園寺の権力使って投票前に私に投票しないように、頼んでもらうべきだった。」


「……あのな、そんなことを考えるお前の方がバカだ。
しかも、西園寺の権力をそんなごときに使いたいとか言うのはお前くらいだ。」


「何でよ。コンテストに出なかったら恥ずかしいことしなくて、済むじゃん。」


今の私にはそのことしか頭になかった。




「………本当にお前みたいな女は初めてだよ。
唯那には欲望ってもんがないのか?
西園寺がバックについている俺にすれば何でも叶うんだぞ?」


その言葉に今まで冗談ばっかりを言っていた私は真剣な顔になっていた。


「……そんなんで叶っても嬉しくないから。」


「え?」



「本当に叶えたいことかあるんなら自分で叶えられる。
私は権力に頼らないと生きていけない人間にはなりたくない。
それに、本当に叶えたいことは自分で努力をしないと意味がないから。
権力使って本当に叶えたいことが叶うのなら、私の生きる価値は無くなっちゃうよ?」