決勝戦、私は10分もかからないうちに勝利していた。
試合をしている時のことは正直、覚えていなかった。


気付いたら終わってて。気付いたら相手の女の子は床に手をついて汗だくだった。


後からレギュラーに話を聞いたら、サーブは全てサービスエースでレシーブも全てリターンエースだったらしい。


自分でもびっくりするくらい集中していた試合だった。


「ありがとうございました!」


コートの中央で一礼すると私はベンチに置いてある荷物を持って出口へと向かう。


隣では西園寺が試合をしていて、ゲームカウントを見ると2ー0。
相変わらず相手にゲームを与えていなかった。


でも、先輩の目は真剣で決して諦めていない。
必死にボールを追ってくらいついている。


今までの私なら先輩を応援していた。
でも今は、心の底から応援することができない。


何でなんだろう…………