「あぁ、唯那は普段の試合でも1ゲームを取られることはないがポイントは取られることがある。
だが、絶好調の時はそのポイントでさえ取らせてはもらえない。
というか、取るのは不可能な話だ。」


「不可能?」


「あぁ、あいつのボールが取れないんじゃなく、見えないんだからな。」


「見えない?」


「あぁ、だから審判もビデオ判定しかしてないだろ?」


そう言われて審判を見ると、審判は目ではなくビデオを見て判定した。


「コースは唯那にしか見えてない。
まぁ、ここまで本気を出すのは余程キレることがあったんだろうな」


「え、どういうことですか?」


「唯那が本気を出す時は最高に調子がいい時か、キレている時だ。
まぁ調子が出るときは可能性が低いから、多分相手が無駄な挑発でもしたんだろうな。」


「……無駄な挑発って?」


「唯那は挑発されてキレることがあったら、ミスをするんじゃなく、逆にミスをしない。
というか、唯那のボールを取ることは不可能だ。だから、勝負は決まってる。
唯那のストレート勝ちで決まりだ。」