審判の挨拶と共に、サーブ権を決めてそれぞれがセンターラインに向かう。
決勝戦は今までの予選とは違い、真ん中の2コートが使われる。
だから、観客の視線も自然と私たちに集まる。


その中で私は思いっきりトスを上げてから構えると一気にラケットを振り下ろす。


「15-0!!」


審判の声が会場に響き渡り、観客からは声援が沸き上がる。


今のは文句なしのサービスエース。
相手は反応することもなくそのまま横をボールが通り過ぎた。


私のサーブに観客がどよめいているのがここからでも分かる。



観客席では、白樺学園高等部テニス部レギュラー全員が顔を揃えている。


その中には親友の裕美の姿もあった。


「もう唯那の勝ちは決まったも同然だな。」


そう言う今宮副部長にレギュラー全員が頷いた。


「え、何で分かるんですか?」


テニスのことを何も知らない裕美は頭の中をハテナにして今宮副部長に理由を聞く。


「あれは、唯那が本気の時にしか出ないサーブだ。んで、そのサーブが出た時は相手に1ポイントでさえ与えない。」


「え、1ポイントも取れないんですか?」