1年前…………か。俺は今まで何年彼女を思い続けているかとかは考えたことがなかった。
俺は物心がつく前から彼女しか見えていなかったし、婚約者も彼女以外有り得なかった。
俺は、西園寺財閥の跡取りだし、その肩書きに近付く女は多い。
だが、そんな女を今まで相手にしたことはない。
俺はそんだけ幼い唯那を思ってきたんだからな。
だが、俺は幼い頃の唯那を見ているわけじゃない。
唯那と再会した時……俺はテニスで負けたことがなかったし誰にも負けない自信があった。
それを打ち砕いた女……俺と対等にテニスが出来る奴が居るとは思わなかったから彼女が唯那だと知る前から興味はあった。
だが、その女が俺がずっと探していた唯那だと知った時は正直、嬉しくて仕方なかった。
俺が好きだった唯那はただ成長しただけで中身はそのままなんだからな。
負けず嫌いな所も、真っ直ぐな所も……そして、何より俺に「テニス楽しかったです!」そう言った彼女の笑顔が可愛くて、あの時と同じ一目惚れだったんだよな……
俺は唯那だと知る前から今のあいつに惚れてた。
つまり、俺は唯那以外を好きになることは有り得ねぇ。

