決勝戦は明日の朝に行われるので、今日の試合は残り一試合だけだった。
準決勝までは時間があるので、私は飲み物を買い自動販売機へと向かう。
すると、そこには玉城部長の姿があった。
「お、唯那じゃねぇか。
何か飲むのか?俺が奢ってやるよ。」
そう言って私に渡されたのは昔から自動販売機で買う時に買っているジュースだった。
「……覚えてくれてたんですね。」
「当たり前だろ?どんだけ一緒にテニスやってたんだよ。
去年の全国大会の時も買ってやっただろ。」
「ははっ、そうですよね。
放課後とか試合前にもジュース奢ってくれましたよね。」
私がいつも買うのはこのジュースでいつも先輩に奢ってもらってたっけ。
「唯那、俺は準決勝進出を決めた。」
「え?」
私は玉城部長の声に顔を上げる。
「それに勝てば明日の決勝戦に進める。
俺は絶対に最後まで諦めないからな。」
玉城部長が決勝戦に出られるかもしれない。
そんな嬉しいことはなかった。
「応援してます、頑張って下さい。」
「あぁ。唯那も今から準決勝だろ?
一緒に決勝に進めるといいな。」
「はい!」
私は笑顔で答える。
白樺学園テニス部の目標であった全国大会決勝戦進出。
でも、決勝戦に進出したら西園寺と闘うことになるんだよね。
それはとても複雑な感じがする……

