「とにかく、無事で良かったよ……唯那。」


私から話すことはないと思ったのか、玉城部長が口を開いた。


「…………はい。」


私はどうしても上手く言葉を繋げることが出来なかった。


「いきなり転校したって聞いた時は驚いたけど、唯那のことだから理由があると思った。
それに、唯那の全国大会出場は決まっていたからそこで会えるからそこで唯那の姿が見れればよかったからな……」


「…………部長」


「だが、まさか鵬龍学園に居るなんてな。想像もしてなかったよ。」


「あの、本当にごめんなさい。鵬龍学園に来たのは事情があって……」


そこまで言うのはいいが、西園寺の婚約者として鵬龍学園に転校したというのは言いにくかった。


「話せない事情があるならそれでいい。
俺らは唯那の元気な姿が見れればそれでいいんだ。」


私を見てすぐに察してくれる部長。
その優しさは私が入部した時と変わっていない。
テニス部に入って、男子だらけの中で活動することになって不安で部員の皆と話せずに居たときに皆と話すきっかけを作ってくれたのも部長だし、全国大会に出場が決まった時、優勝することを信じていてくれたのも部長だった。