「疲れたぁ!このしんどい練習もとりあえず今日で終わりか。」


日も暮れて、ボールが見えなくなると最後の練習は終わり。


校門の前で皆と分かれ、私と西園寺は迎えの車が来るのを待っていた。


「……唯那。」


今まで何も言わなかった西園寺に急に名前を呼ばれて私は自分よりも身長の高い彼を見上げる。


「全国大会、一緒に優勝しような。」


そう言って、私に拳を向ける。


「もちろん!」


私は笑顔を見せるとその拳に自分の拳を合わせた。


去年は、初めての全国大会だったから優勝なんて頭になかった。
というか、勝てる自信がなかった。


今まで団体戦で闘って来た私が、初めて個人戦で闘う。
だから一年前の私は不安しかなかった。


中学生の時はコートに入っても挨拶の時は皆が隣に居て不安な気持ちが修まっていたのに、個人戦は一人だから不安なまま試合に臨んでた。


でも、今は1人じゃない。


隣で、西園寺が一緒に闘ってくれる。
だから、不安な気持ちなんてなかった。