調整に入ると私と西園寺は特に何をするでもなく、いつも通りの打ち合いを行っていた。


こんなに沢山打ち合いをすると、更に際どいコースを狙うようになりお互いが厳しい打ち合いだった。


それでも、途切れることはなく練習開始から休憩なしでラリーが続く。
何回続いたとか数える余裕はなく、一球一球に必死だった。


私と西園寺の関係は、テニスを一緒にするようになってからは友達みたいに話すようになり、私の頭から婚約者という固い言葉は消えていた。


「唯那、前よりも反応が早くなったな。」


練習が終わると2人してベンチに座り込む。


「そう?」


「あぁ、前も充分早かったが、今は俺の動きを読まれているような感じがする。」