その話を聞いて、他の部員達も気合いが入る。


部長からメニューを渡されるとそれぞれコートに入って練習を始める。


「唯那、ちょっと来い。」


私だけ玉城部長に呼ばれてコートの端に寄る。


「どうしたんですか?」


「この練習試合のことなんだが……多分、狙いは唯那だと思う。」


「え、私ですか?」


私、鵬龍学園のことなんて知らないし、そんな人に狙われる理由なんてないんだけど。


「去年、唯那が全国大会で優勝しただろ?」


そう、去年の全国大会個人戦の女子の部で優勝したのは私だった。


「うん……それが関係あるの??」


「それまでは毎年鵬龍学園が個人戦で優勝してたからな。
それを破られた腹いせに唯那を叩き潰すつもりなんじゃないか?」


いやいや、そんなこと言われても……


「理由はどうであれ、向こうがわざわざ東京から出向いてくれるんだ。遠慮することはない。
唯那は唯那のやれることをやればいいだけだ。」


「……………分かった。
勝てるかどうかは分からないけど、やれるだけのことはやってみる。」