「唯那が格好良かったから出る幕がなかったんだよ。
でも、怪我する前にちゃんと助けただろ?」
確かにあそこで西園寺が来てくれなかったから怪我をしてたかもしれない。
そしたら全国大会にも出場出来なかったかもしれない。
「……………あ、りがとう。」
どんなに好きじゃなくても助けてもらったことには変わりない。
私は小さい声でお礼を言った。
「どういたしまして。」
西園寺は今まで見たことのないような笑顔を見せる。
「それにしてもさすが俺の婚約者だな。」
「こ、婚約者って、私はまだ認めたわけじゃ……」
焦って否定をしようとすると何かで私の唇が塞がってそれ以上喋ることが出来ない。
何故か目の前には西園寺の顔があって、唇には温かいものが触れている。
……これって、キス?
私、西園寺にキスされてるの?

