入部届を出しに行った日。


先生は私の入部を歓迎してくれた。


少し遅めの1歩をようやく踏み出すことが出来た私。


きっと問題はこれからだけど今の気持ちはとてもすがすがしかった。


「おめでとう~じゃあ今日から練習なんだ」

「うん」


泉ちゃんが私の話を聞いて目をきらきらと輝かせる。


「すごいな~沙奈の気持ちを変えちゃうなんて、やっぱりあの人が原因?」

「ん~まぁ……そういう感じなのかな」


彼とした1on1は感覚を戻すためだけじゃなかった。


バスケをしていた頃の気持ちや感情すべてが蘇って私の心を支配した。


家から持ってきたバスケシューズを見つめる。


バスケをもう一度したいと親に打ち明けた時、

お母さんはとても嬉しそうな顔をしていた。


久しぶりに見た母親の笑顔。

そして母は押し入れからあるものを取り出した。