長い式が終わると私達は自分の教室に向かった。


「そういえば、沙奈はこの後部活見学とか行くの?ほらバスケ部とか……うち強いんでしょ?」


泉ちゃんは言う。


「あーうん、そうみたいだね。でも部活見学は行かないよ。高校では部活は入らないって決めてるから」

「え、バスケしないの!?」


泉ちゃんは驚いた表情をみせた。


「しないよ。もうバスケはいいの、ずっとやってたからさ、飽きちゃった」


「えー!あんなにバスケ一途だった沙奈からそんな言葉が出るなんて……!」


長いまつ毛をぱちり、ぱちりと瞬かせ、じっと私を見つめる泉ちゃん。


あの日。

無駄になった青春を取り戻すことは出来ないと知った。

だから今度はもう、そんな後悔をしないように有意義に高校生活を過ごしたいと思う。


「中学の頃は練習ばっかりで全然遊べなかったんだもん。

私だって、普通に恋したりバイトしたり高校生活楽しみたいよ」