言ったって何も変わらない。


分かってもらえるわけなんてない。


無駄なことはもうしないって決めたから。


「帰る……!」


この場所にいたくなくて、

立ち去ろうとした時。


ーーパシ。


「逃げんなよ」


彼は私の手をとった。


「……っ、放して」

「何も変わらないかどうかはやってみてから考えろ。

何もしてねぇくせに決めつけてんじゃねーよ」


何も言い返すことが出来なかった。


それは自分でも気づいていたからだ。


向き合うのが嫌で逃げることにした。


そっちの方が楽だから。


もう苦しみを味わいたくない。

だから嫌いだと言った。


そうしたら楽になれると思ったから。

でもそうじゃなかった。


本当は……本当は……。


私はぐっと、唇を噛み締めて、彼の手を振り払い逃げるように学校から出た。