「なに、言ってるの?」

「自分がずっと大事にしてたもの。

放り投げて興味ないフリすんのは辛くないのかって聞いてんだよ」


さっきまでふざけた顔をしていたのに、今は真剣な顔して私の心を見透かすように見る。


「意味分からない……し」

「俺は辛かったよ」


え……?


「大好きなクセに嫌いだって言って見ないようにしていた瞬間はものすごく辛かった」


私の気持ちなんて分かるわけないのに。

分かったような口を聞く。


嘘だ、分かるわけない。

ただ私に寄り添ってそう言っているだけだ。


「つーか、なんでバスケしたくなくなったの?教えてよ」



しかし、彼は諦めなかった。


嫌いなのに、見たくないのに。

向き合いたくないのに。


手をさしだしてくる。



口に出したら楽になるんだろうか。

誰かに分かってもらえるんだろうか。


ううん、そんなことない。