それから1週間後。



【113-112】



「桜ヶ丘高校、決勝進出」


私たちの高校は優勝候補の高校を破り、決勝に進出した。

会場は大盛り上がりだ。


私たちが退出するまで歓声は終わらない。


今、自分たちはすごいことをしているんだと改めて実感した。


広い体育館。

大きな歓声。


色んな人からの応援。

そのどれもが嬉しいはずなのに、少し寂しい気持ちを覚えるのは

陽介がいないからだ。


陽介、私たち勝ったんだよ。


明日はいよいよ決勝戦。

夢に見ていた会場がすぐそこにある。


泣いても笑っても明日で最後になる。

自分が今までやって来た集大成。

全国の1位を決める戦いが始まる。


少し怖くもある。

また中学の時のような気持ちになってしまったら……。


それでも、もう。


『もう1回、チャレンジしてみようぜ』



逃げないって決めたから。