あれからさらに3週間が経った。



「気をつけ、礼」

「ありがとうございました」


インターハイ出場が決まり、私たちは数々の強豪校が集まる場所で試合をした。

会場も電車とバスを乗り継いで4時間かかるところまで行くこともある。


試合のほとんどが接戦でどちらに転んでもおかしくない展開だった。


1回たりとも気が抜けない。


それでも私たちは着実にコマを進めていった。


もうすでに快挙だと言われている。

女子がここまで勝ち上がって来たことは未だかつてない。


校長先生やお世話になっている先生、

親や泉ちゃんも近い会場の試合は応援に来てくれた。


「沙奈、すごかったよ~」

「ありがとう、泉ちゃん」


同じ年の男バスも女子の試合の応援にかけつけてくれている。

だけど……そこに陽介の姿はない。


あの日以来、

私たちは一度も口を聞いていないし会ってもいなかった。