6月下旬ーー。
気づけばあっという間だった。
ここまで来るのに。
何度も、練習と練習試合を経験して
自分の技術の劣らなさに悔しく歯を食いしばったりした。
練習していたプレーが出来て勝利に喜んだりもした。
私たちが3年間の全てをかけた日々の最後の夏が今、
始まろうとしている。
「気をつけ、礼」
「よろしくお願いします」
都大会、1回戦目。
負けたらそこで終わりの引退の試合。
お互いに譲れない。
試合開始の笛が鳴る。
私は未だにベンチスタートだったけど、そこで肩を落としたりはしなかった。
わあ、という歓声の中。
ボールが打ち上げられる。
私は授かったユニフォームを着て応援していた。
今日は私のお母さんも試合を見に来ている。