泉ちゃんが後ろを振り向いてこっそり私に耳打ちする。

「学校案内、楽そうでいいね」

「確かに……」


でもうちの学校、迷路みたいな作りだって聞いたからしっかり見ておかないと迷子になるかも……。


「じゃあさっそく行くぞ。教室の前ではみんな喋らないようにな」


先生を先頭にみんな席を立ち、友達同士固まって先生の後をついて歩いた。


「ここが図書室で……」

先生が説明する中、泉ちゃんが嬉しそうに言う。

「うち学校さ、新しいからキレイでいいよね〜設備も整ってるし。

私なんか、けっこうそういうのが決めてだったりするんだよね〜」


決めてか……。


バスケをしてる頃は、うちの高校が強いと聞いて、絶対行くんだって思ってた。

だけど、今はただ家から近かったからという理由でうちの学校に入ってきただけだ。


キラキラした眼差しはあの日に全部消えてしまった。

いや、あの日よりももっと前に消えていたのかもしれない。