「その後、その子のことを調べて名前を知った。

そしたら噂で同じ学校に入ってくるっていうのを聞いて……すごく楽しみにしてたんだ。

じゃあ女バスに入ってくるなって。


だけど、沙奈の姿は無かった。


悲しかったけど、どうすることも出来なくてひたすら練習していた時、


転がったボールを偶然取ったのが沙奈だった」


「そう、だったんだ……」



あの時会ったのは偶然ではなかった。


ずっと不思議だった。

陽介がどうして私に声をかけて


私にもう一度やろうと誘ってくれたのか。



「もう引き止めるしかないって思ったよ。

あの日、俺をすくってくれた彼女が辛そうな顔してバスケを嫌いだなんて言う。


絶対に手放しちゃいけないんだと思った」


見つめ合った目は真剣で痛いくらい陽介の気持ちが伝わって来た。