私が勇気を出してそう切り出した時、陽介が被せるように言った。


「中学3年の引退試合、俺のミスでチームをピンチにさせたことがある」

「えっ」


すると陽介はボールをいじっていた手を止めて、ゆっくりと話し出した。


「緊張感と相手の気迫に飲まれて、俺が一度ミスをした時、

何かのストッパーが外れたかのようにミスを連発したんだ」



彼の過去の話。


聞くのは初めてだった。




「その時は五分五分の競った試合だったけど、そのミスが連鎖を呼び、


たった3分で点差が14点差まで広がった」


明らかになる陽介の過去。


陽介の顔は私が今まで見たことのない苦しそうな顔だった。


「慌ててコーチがタイムアウトを取ったけど、俺はベンチに下げられることは無かった。

でも今まで必死で点数をとって並んでいた点差を一気に取っられて正直チームの士気は思いきり下がってた。

もう無理なんじゃないかってみんなの頭にも考えがよぎっていたと思う」