「時に自分の思っていることを吐き出すのも大事だよ。

それが陽介くんに出来たってことはやっぱり沙奈は陽介くんに気を許してるんだよ」


そうなのかな。

考えてみたことも無かった。


泉ちゃんの前向きな言葉はいつも私を励ましてくれる。


「泉ちゃん、大好き」

「わあ、嬉しい!それのくらい素直になって陽介くんに伝えたら?

あの時は言い過ぎたって」


「そうだね……」


謝って許してくれるかな。

また私と一緒に練習してくれるかな。


少し怖い。


よく考えれば私は今まで誰かとケンカしたことなんて無かった。


自分の気持ちをいつも我慢して言わないからだ。


どうやって謝ったらいいんだろうな……。


その日は泉ちゃんと駅前のイタリアンのお店でパスタを食べたけど、色々考えすぎてしまってどんな味がしたのかあまり覚えていなかった。