陽介がバスケのことになると真剣なのは元から知っていた。


私のことになると特に力を入れて指導してくれる。


それって陽介が私のことを考えてくれているからだってことも分かっていた。


分かっていたのに……。


「どうしてあんなこと言っちゃうんだろう」

「でも私は良かったと思うなあ」

「え?」


泉ちゃんの言葉を聞き返せば、彼女は嬉しそうに話し始めた。


「だって沙奈ってさ、自分の思ってることはいっつも心に抱えてるって感じするじゃない?

私みたいにこれ食べたい!とかあの店行きたい!とかわがまま言わないところもあるし……

そんな沙奈がさ、陽介には分からない!私は強くない!って言ったんでしょ?

それってすごく特別な関係って感じがするなぁ」


特別な関係……。

あんなこと言ってしまったのに?