「勝負するってことはぶつかり合うってこと。そうすれば直接得点に繋がらなくてもファールはもらえる

逃げてたらボールを奪われるだけだ」


陽介の言う通りだ。

前からいけないと思った瞬間から自分は負けている。


飛び込む気がない選手が激しい戦いの中、点数なんて取っていけっこない。


「もう1回、俺にぶつかって来いよ」


陽介はボールをこっちに投げるとそう言った。


「逃げんなよ」


彼はいつも活き活きしている。

バスケのことになると特に。


一度、バスケを嫌いになったことがあるって言っていた。

でもそんなこと微塵も感じさせないくらい”好き”の気持ちが表面に出ていた。


陽介がディフェンスの姿勢になる。

私は3Pラインからドリブルを始めた。


前に切り込んでいく姿勢。