すると突然、後ろから声が聞こえてきた。


「ツレねぇな、そういう時は呼んでくれよ」

「陽介!」


陽介が楽しそうに笑いこっちまで来る。


「なんのために俺がいると思ってんだよ」


そう言って私からボールを奪い取ると、にやりと笑った。


「なんでもどうぞ?シチュエーション通りこなしますぜ」

「じゃ、じゃあ……」


私は陽介に抜けないくらい隙の無いガードを頼んだ。


「なるほど?」


陽介の瞳がぎらりと光る。

ボールを渡された時にはもうガードの体勢が出来ていた。


ゆっくりとドリブルを始める。


陽介を抜くんだ。


そうやって考えながら切り込むタイミングを見計らうが、彼には一切そんなの存在しない。

正面からは無理だ。


そう思ってドリブルで右から抜こうとする。