彼の技術はずっと上向きだ。


「お疲れ様でした!」


練習が終わり、みんなが部室に戻って行く。


「あれ、沙奈ちゃん帰らないの?」

「うーん少しだけ練習してく」

「そっか」


私は体育館が使えるまでひとり自主練をすることにした。


しゅっとボールをゴールめがけて放ればぱす、と乾いた音がネットを揺らす。


自分の課題はシュートじゃない。


ディフェンスに追い詰められた時、 そして試合だと意識した時に頭が余裕をなくしてしまう。


深呼吸してドライブで切り込む。

ディフェンスがいることを想像しながら、私はドリブルで交わす練習をしていた。


どれだけ練習しただろう。


気づけば隣にいた男バスもいなくなっていて、静かな空間の中、私はボールをついた。


もう一度だ。