「絶対そうよ、じゃなきゃそこまで気にかけたりしないって。少なくとも特別には思ってるでしょ?」

「特別……か」


あんまり深く考えたことが無かったけど、そう言われると少し恥ずかしいかも……。


ぽっと赤くなる顔を隠すようにうつむくと、私は窓の外から大きな声で名前を呼ばれた。


「おーい、沙奈。ちょっと来てくれ」

「えっ!?」


そうやって私の名前を呼んだのは陽介だった。


「キャー!噂してたらさっそく来た~」


泉ちゃんは私にだけ聞こえる声でそう叫んだ。


「ちょっともうやめてよ~」


さっきまで陽介の話をしていたから変に意識してしまう。

手のひらで顔をパタパタあおぐと私はすぐに教室のドアにまで向かった。


「ど、どうかした?」


普通に、自然に。

そう自分に言い聞かせても目を見ることが出来なかった。