「キミ達の担任を受けもつことになりました、大島健太といいます。1年間よろしくお願いします」
大島先生。
歳は43才で結婚して子供が2人いるらしい。そして……。
「女子バスケ部の顧問をしています」
女バスの顧問。
何のめぐりあわせだろう。
見たくないと思うほどついて回る思い出は私をちょっと苦い気持ちにさせた。
「さっそくだが、これから一人ずつみんなの前で自己紹介をしてもらう」
ざわざわ、と周りがざわつき始めるけど、先生は容赦なく言った。
「じゃあ安部川さんからどうぞ」
自己紹介……苦手なんだよなあ……。
これで第一印象が決まってしまうんだと思ったらドッ、と緊張が押し寄せて来た。
出席番号順に自己紹介が始まっていく中で、私は自分のことを見つめ返す。
好きなことや特技、中学時代やってきたこと。
だけど、そのどれもがバスケ一色で、もうバスケを諦めた自分に言えることはたったこれしかなかった。


