でも、なかなか勇気が出ない私は友人によく溜め息をつかせる羽目となった。


学校行事や何かのイベントで、それでも私なりに距離を縮めたいと頑張ってはいた。
最初は少し長く喋れただけで舞い上がるほどに、恋から疎い存在だった。
けれど今となっては、何かしらの理由を付けてツーショットを成功させたりするまでに進化した。



「で、散々引き延ばしにしていた告白をとうとう実行したいと?」
「バレンタインにチョコあげる、なんてもう告白同然だから、いっそ言ってしまえと思って……」
「やっと覚悟が出来たのね」
「いや、もう覚悟するしかなかったの」


最初に相談を持ちかけたあの時のカフェから、この話をするときは一切場所を変えていなかった。

もう常連と言っていいほどに訪れたこの回数は、私の恋の進展を表したものでもある。
回数が増えることに私は喜びを感じていた。
まぁ、友人はそうでも無さそうだったが。
最初に、もういい加減にしてよ、と半ば呆れ顔で言われた記憶はもう古いものだった。


だから、何度も持ちかけた相談も、これでやっと最後になりそうだと言えば、友人は疲れきった顔で、じれったいと一言。

その点は私も悪いとは思っているが、仕方がないのだ。


「それで、どうするつもり?」
「カップケーキを作ったの。あと、一口マカロンも作って、キャンディみたいに包んでみたよ。明日これを渡すと同時にって思ってる」
「何これ可愛い。私が欲しい。」
「ちゃんとあるよ、明日にね。とりあえず、見た目は大丈夫そう?」
「ばっちり。さすが主婦」
「主婦じゃないし。お菓子作りのみ得意なの。」


私はあらかじめ写真を撮っていたラッピングされたお菓子を友人に見せた。

中々上出来なようで、気分は上々だった。


明日は2月14日、バレンタインデー。
金曜日で、休みを挟むのは結果どうあれ幸いだ。


「いつ言うの?」
「それが、タイミングが全然わからなくて。放課後がいいんだけど……」
「放課後、ねぇ。ま、それがいいんじゃない?」
「そう?」


なら、放課後に。
そう思ってはみるが、放課後の教室とはいっても電車待ちやら部活までの暇潰しやらでいつも人がいるのが前提。


……どうすれば、いいのか。

なんだかんだ、校内で人に見付からず告白出来るスポットなんてないのだ。
彼も部活があるから、時間はあまりかけられない。


そんなことを考えていると、結果どうこうの話ではなくなる。

ああ、憂鬱だ。