さくらの約束

入学式、私は実家から遠く離れた全寮制の私立高校に入った。

誰も私を、私の過去を知らない土地に行きたかった。



「あ、ねえねえねえ!名前なんていうの?私、水原 かえで!よろしく!」


1年A組、隣の席になった女の子はモデルみたいに綺麗な人だった。


「吉岡 華です。…よろしく。」


それからどこの中学出身とか、他愛もない話をした。

かえでは綺麗で静かそうな顔なのに明るくてよくしゃべる子だった。

しばらく話をしていると外がざわざわしていることに気が付いた。


「あ、きたきた。おーい!!」


かえでは窓をあけて窓の外にいる人の群れに手を振った。


「あ、かえでじゃん、やっほー!」


群れの中の二人の男の子がかえでに手を振り返した。

どうやら、その男の子二人組が群れを作ってる原因のようだった。


「すごい、なんか人気者だねあの二人。お友達?」


「華、あの二人知らない?この辺りじゃ有名人だよ。

 なんたってサッカーで全国制覇したエース2人だからね。」



全国制覇?


すごい…。


「私は同じ中学で、仲よかったの。この学校にもあの2人目当てで

 入学してる女の子いっぱいいるみたいなんだよね。」


「そんなすごい人たちなんだ…。」


芸能人みたいだな。