もう家に帰ろうと、後ろを向くとそこには優くんの弟の隼人くんがいた。


「華ちゃん、また泣いてるの?最近泣いた顔しか見てないな。」


たしかにそうだな。優くんがいなくなってから隼人くんの前ではよく泣いた。

笑っていても無理して笑顔つくってるのが隼人くんには分かるから。


「兄ちゃんも、そんな華ちゃん見たくないと思うよ?

 華ちゃんの笑顔が好きだったから。」


「うん。…そうだね。だけどね、優くんの家族の前で笑う資格なんて

 私にあるのかな…?」


そういうと隼人くんは悲しそうな顔をした。


…ごめんね。最低だよね、私。私のせいで優くんは…。


「兄ちゃんは、華ちゃんのせいだなんて思ってないよ。

 俺たち家族だって。だからほら、前向いて、笑って?」


入学式明日なんでしょ?目腫れちゃうよ。

なんて言って隼人くんは笑った。


あぁ、この子はなんて強い子なんだろう。

さすが優くんの弟だな。


「ありがとう。」

それだけ言って私はその場を去った。