銃声が鳴り響く。怒号が飛び交う。

 歴史的建造物が昔の面影もない廃墟と化したここは戦場。

 西暦2214年、イタリアの主要な街は見るも無残な姿を晒していた。

 記録的大寒波による大雪で、視界はすこぶる悪い。

 しかし、その雪のおかげでむせ返るようだった硝煙と血の臭いは、あまり感じられなくなっていた。

 機関銃を手に建物の陰から攻撃していた俺の頬を、銃弾がかすめる。

 だが、そんなものはかすり傷だ。

 長い長い戦いの中で身も心も傷つきまくっている俺にとっては数えるほどの傷でもない。

「アレン! 撤退命令だ!」

 この圧倒的不利な状況で、遅過ぎる気もしたが、俺は文句も言わずパリス兵士長の指示に従い、その戦場をあとにした。