「おう!」




広樹は喜んでた。





二人でのババ抜きは、
物足りない感じもした。


でも…。



会話もほとんどなかったけど、少しずつ



何かが────溶けていくような。



そんな、感じがした。





終盤に差し掛かると、
私はあることに気がついた。





お互いのトランプの枚数が、偶数。



と、いうことは…。




私は、ババを持っている。



そして広樹も、多分持っている。




売られている大半のトランプって、
ババが二枚入ってるはずだ。




最初に一枚、抜かないで始めたから
このゲームは、ババ抜きでもなんでもない。