とにかく、動くんだ。
今日行動起こさなきゃ、
由紀にあぁ言われた時の気持ちが、
薄れて変わってしまうかもしれない。
俺は、美穂が風呂などを済ませて
再び部屋に入るときを見計らい、
声を掛けた。
「美穂」
ピクリ、と美穂の肩が震える。
自分の姉だからこう思うのも変な気がしたが、
なんか、すごく華奢だと思った。
「この前は、ごめん」
美穂が振り返った。
前髪が長く、メガネかけてても、
それじゃ前が見えないだろうと思った。
こっちから顔もあんま見えないし。
「そんな急に外とか言われても、困るよな。
つい、カッとなっちゃったんだあのとき」



