ガタン!



私は大きな音を立て、
ダイニングチェアから立ち上がる。


ノートの入ったビニール袋を片手に。




「み、ほ?」




立ちくらみがした。



…そりゃそうか。
いきなり立ったから。





「そんなこと言わないで」




そうだよ、広樹に“だけ”は
言われたくなかった。


外に出ようなんて。



広樹にはきっと分からない。
ううん、分かるはずがない。

私の、こんな腐った感情なんて。
間違ったことばかりしてる私のことなんて!






「美穂?ちょっ、」




広樹が私を咎める様子だったが、
私はそれを無視して部屋へ駆ける。




「美穂!!なんで。

なんで…そんなんなんだよ!」