「なんか三冊組のあったんだけど、 分かんなくてフツーの買った」 「あ、ありがと」 私は広樹からそれを受け取る。 「美穂、勉強でもしてんの?」 「え?」 「ノート」 私はどう答えていいのか分からなかった。 勉強はしてることにはしている。 私からお母さんに頼んで、 テキストは用意してもらってるけど、 そのテキストに書き込んでるし、 メモはルーズリーフにするから、 ノートの目的は勉強じゃなかった。 「うん…」 少し嘘ついちゃった。 「ふーん」 広樹は少し考え込んだように首を傾げる。